第6回日本看護医療学会学術集会 シンポジウム
高度先進医療と看護の役割
新しいチーム医療の姿を求めて—トランスレーショナルリサーチの現場から
横出 正之
1
1京都大学医学部附属病院探索医療センター探索医療臨床部
pp.60-61
発行日 2004年12月25日
Published Date 2004/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7009200230
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はじめに
ヒトゲノム解読に象徴される生命科学はこの20年間に飛躍的な進歩をとげた。これらの研究が学術的に高い評価を受けることは申すまでもないが、さらに重要な点としてその研究成果が研究者だけではなく社会全体に還元される可能性と使命を帯びていることがあげられる。このように生命に関する知識の拡大は基礎医学と臨床医学をこれまでになく近づかせ、基盤研究で開発された細胞治療、再生医療などの新規医療を実際に病む患者に応用する道を開こうとしている。これらの計画は、一施設が単独で行うことは不可能であり、国家戦略の上にはじめて成り立つ。以上のような観点から1990年代中期から日米欧の3極において、基礎医学を臨床医学に変換(トランスレート)することにねらいを絞ったプロジェクトが開始された。トランスレーショナルリサーチという概念は生命科学研究を臨床応用につなぐ架橋となる探索型臨床試験を駆使した研究活動として産声をあげたといえよう。
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