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【シンポジウム】 災害看護構築の進化に向けて〜各看護専門領域の統合と実践へのつながり〜
クリティカルケア看護の立場から
From the Standpoint of Critical Care Nursing
井上 智子
1
1東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科
pp.66-72
発行日 2011年5月31日
Published Date 2011/5/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200109
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- Abstract 文献概要
私達は6年前に日本クリティカルケア看護学会を立ち上げまして、今年の7月に6年の理事長任期を終えました。学会を作ろうと思った背景も含め、看護の専門性を追求していく中で感じたことを中心に、今回の災害看護の構築に向けてという課題を考えてみたいと思います。
1970年代の米国の調査結果(スライド1)で、当時はまだクリティカルケアという区分ではなく、ICU・CCUナースへの認識調査ですが、彼らがとても重要な仕事だと認識している業務が、どうも自分たちの専門的な仕事ではないと感じている、すなわち、重要性と専門性の不均衡というのが問題となってきました。そのなかでICU看護の専門性とはなにか、ということがずっと追求されてきました。その後クリティカルケアという言葉が登場してきたのですが、その領域のゴールは救命なのか、患者は先端の医療機器に囲まれ、さまざまな侵襲的な医療処置がひっきりなしに行われている、これがメインの仕事なのか。そして、よく言われていたのが、看護師がミニドクター化するということです。それも外から言われるのではなくて、自分たちがミニドクター化してしまっているのではないかと常に危惧していました。「ICUでのケアで、心電図解析と清拭、あなたにとってはどちらが重要か」ということが問われたりしました。もちろんどちらも重要で、安全で安楽なケアをするためには心電図解析が不可欠です。すなわち、医療処置、医療機器の操作ができるということは看護ケアの前提であるのです。逆に言えば、医師は心電図解析はできるけど、卓越した看護ケアはできない、そこに看護の専門性がある、と徐々に意識は集約していきました。
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