病院職員のための医学知識
クリティカル・ケア・メディシン
畑山 善行
1
1信州大学医学部外科
pp.340-341
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207721
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クリティカル・ケアとはどういう医療でしょうか
最近各地の病院では院内各科の重症患者と数少ない医療機器を一か所に収容して,進歩した技術を持ち,意欲のあるスタッフによる効率の良い治療・管理を行う集中治療室(ICU)の体制がかなり普及しております.施設によっては,収容する疾患を基にしてCCU(心筋梗塞等の重症心疾患治療室),呼吸器疾患治療室,熱傷センター,血液透析室,新生児・未熟児集中治療室,救急・救命センター等,更に細分化している場合もあります.疾患や医療内容ではなく,患者の有する切迫した病態を中心にながめて生命の危機に瀕している状態の改善,救命に限って専門領域を超越して治療・管理を行うのがクリティカル・ケア(メディシン)であります.1972年,米国でクリティカル・ケア医学会(SCCM)が設立され,発起人の一人であるWaisbrenは"クリティカル・ケアとは,本質的には治療によって回復可能であると考えられるが,48時間以内に死亡する可能性の極めて高いほど重篤状態にある患者に対する全身的・系統的治療・管理である"と述べております.最近起こりました日航機墜落事故にたとえますと"機長が操縦桿を押し下げている(死に瀕する病変の急変)ので,副機長は機首を起こそうとして操縦桿を引き上げて(クリティカル・ケア)いわば力競べのような状態になったが力及ばず墜落(死)した"とのことであります.
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