Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
1.概要
2011年3月11日14:46頃、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生した。この地震により宮城県栗原市で震度7、宮城県、福島県、茨城県、栃木県で震度6強など広い範囲で強い揺れを観測した。また、地震そのものによる被害に加えて津波、火災、液状化現象、地盤沈下、それに原子力発電所事故など多岐にわたり、特に東北地方から関東地方の太平洋沿岸では大きな被害があった。
津波について、国土地理院が航空写真をもとに解析した結果、津波により浸水した面積は、青森から千葉までの太平洋側6県62市町村で、合計561km2(東京23区の面積の9割、大阪市の2.5倍、福岡市の1.6倍、名古屋市の1.7倍)に達した。最も被害が大きかった市町村は宮城県石巻市の7 3 k m 2。宮城県は327km2で被害全体の半分以上を占めた。また、川沿いの地域では、海岸から十数kmの地点でも浸水していた。気象庁の現地調査による津波の痕跡から推定した津波の高さでは、最も高かったのは岩手県大船渡市の11.8m、同県釜石市で9.3mであった。また、港湾空港技術研究所の現地調査では、三陸海岸の宮城県女川港で、海沿いの3階建てビルの屋上に漂流物が積もり、海に面した側の窓ガラスが高いところまで割れていることなどから、津波の高さは15m以上と推定された。さらに、東京海洋大の調査では、陸地の斜面を駆け上がった津波の高さ(遡上高)が、宮古市・姉吉地区で、観測史上では国内最高記録とされてきた明治三陸津波(1896年)の最大値38.2m(大船渡市三陸町綾里)を上回る38.9mだったことが分かった。リアス式海岸特有の地形により波が増幅し、各地に大規模な被害をもたらした津波は、国内観測史上最大だったことが確認された。
Copyright © 2011, Japan Society of Disaster Nursing All rights reserved.