巻頭言
東日本大震災の渦中で
冨山 陽介
1
1坂総合病院リハビリテーション科
pp.519
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102088
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2011年3月11日,14時46分,遅い昼食の後,私は病棟の女性4人部屋にいた.患者がなにか冗談を言って部屋中で笑っていたその時,地鳴りのような揺れが始まった.最初は小さい振動と思われたが,どんどん大きな揺れとなり,患者が叫びベッドから逃げ出そうとした.建物全体がきしみ壁が壊れて破片が落ちてくるのが窓を通して見えた.「ベッドから離れるな」と叫びナースステーションに向かうも,途中激しく揺れてひざまずく.ようやくナースステーションにいくと,電子カルテ用のパソコンや,棚や本棚のものもみな床に落ち,スタッフルームは滅茶苦茶だった.
院内で直ちに災害対策本部が立ち上がった.すでに停電しており,電話も携帯電話もインターネットも通じない.何が起こったのか正確な情報はないが,甚大な災害が発生したことは誰もがすぐに直感できた.その頃,外は吹雪いていた.
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