Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
消化器外科手術後の合併症は多種多様であるが,その中でも縫合不全による腸管皮膚瘻(以下,腸瘻)は,排液によりスキントラブルを誘発しやすい.同時に排液は腸液に含まれる消化液を含んでおり,創傷治癒に影響を与える因子の浸潤性・pHを含んでいる1).また長期的に腸瘻を管理する場合は,低栄養,運動障害,不眠などの全身的因子のため容易にスキントラブルが発生しやすく,創傷の遅延やスキントラブルによる患者の精神的・身体的苦痛は計り知れないものがある.
術後縫合不全により消化液を含む排液をドレナージする場合には,周囲のスキントラブルを予防するためにパウチング法を行うことを稀に経験する.パウチング法とは,体表に取り付けた袋に体内から大量の排液物や分泌物を溜め,排泄物や分泌物の排水口にあたる創およびその周囲皮膚を保護するドレッシングの一種である2).
腸瘻管理においては,Closed Suction Wound Drainage法とパウチング法の併用が有効であることが述べられている3).筆者は骨盤内腫瘍摘出術後の縫合不全により比較的大きな小腸瘻と膀胱瘻を形成し,尿を含む腸液の排液が3,000ml/日に及び,栄養状態の不良と感染症(MRSA)を伴うという難治性で管理が困難な症例を経験した.この症例に対し適切な創傷ケアを行い,スキントラブルによる患者の苦痛を最小限に抑える目的で,パウチング法と低圧間欠持続吸引によるドレナージによる瘻孔ケアを行った.パウチング法においては,大きな瘻孔と多量の排液の問題から市販の既製パウチによるパウチング法が不可能であったため自作パウチを作成した.その結果,スキントラブルなく経過した症例を経験したので報告する.
Copyright © 2004, Japanese Society of Cancer Nursing All rights reserved.