小さな工夫
Kockパウチ造設術後の肥満症例における自己導尿法の工夫
萩原 正通
1
1栃木県立がんセンター泌尿器科
pp.458
発行日 1990年5月20日
Published Date 1990/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900093
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肥満症例にKockパウチを造設した場合,術後、自己導尿が困難となることがある。輸出脚に作成した腸重積弁の合併症が自己導尿困難の原因となっている場合はこの合併症に対する処置が必要であるが,腸重積弁に問題がない場合は輸出脚の屈曲が自己導尿困難の原因となっていることが多く,この場合は自己導尿法を工夫することによって問題を解決できることが多い。すなわち図に示すように肥満症例では,立体になると,皮膚,皮下脂肪とともにストーマが下垂するため,輸出脚の屈曲をきたす(a)。また,術後,体重が著しく減少した場合は,輸出脚が過長となり,これも屈曲の原因となる(b)。この輸出脚の屈曲は,ストーマ周囲の皮膚をつまみ,前方に牽引するという単純な操作により消失し(c),カテーテルの挿入が容易となる。著者は,Kockパウチを造設した症例,とくに肥満症例で自己導尿困難の訴えがあった場合には,上記のような導尿法を指示し,良好な結果を得ているが,この工夫は著者が発見したものではなく,某患者が,自己導尿の困難を経験しながら,自ら発見したものであることを付記しておきたい。
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