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日本看護診断学会第11回学術大会報告 定着させようNANDA看護診断
【レクチャー中範囲理論】
1.ストレスコーピング
Stress-Coping
伊藤 絵美
1
Emi Ito
1
1洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
1Senzoku Stress-Coping Support Office
pp.113-115
発行日 2006年3月15日
Published Date 2006/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100224
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Ⅰ.ストレス研究のこれまでの流れ
1930年代,生理学者セリエ1)は,人間が有害な環境に置かれた際,その中身が何であろうと(たとえば,寒冷,高温,騒音,振動,過剰な労働負荷など),①副腎皮質肥大,②胸腺・リンパ節・脾臓の萎縮,③十二指腸の出血と潰瘍化という3つの症候が生じることを発見し,有害環境を“ストレッサー(ストレス因)”,3症候を“汎適応症候群”と命名し,生理学的ストレス研究の先鞭をつけた.セリエの発見は,まず生理学および医学に大きな影響を与え,現在では,ストレスが視床下部を経由して,免疫系,自律神経系,内分泌系の3系統に影響を及ぼす生理学的メカニズムが,明らかにされつつある.このような生理学的ストレス研究により,たとえば“試験前には風邪をひきやすい”といった現象や,原因不明とされていた身体症状が,ストレスという視点から説明が可能になったのである.
その後,ストレス研究は,社会学や心理学の領域にも広がり,たとえばホームズとレー2)は1960年代に,ライフイベント尺度を作成し,配偶者の死,離婚,親族の死,失業といったライフイベントによって,人が体験するストレス量が異なること,そして同時期に多くのライフイベントを体験する人ほど,そのストレスを克服するために多大なエネルギーを投入することになり,その結果,心身の疾患を発症する可能性が高まることなどを見いだした.
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