日本看護診断学会第8回学術大会報告 看護診断と情報科学―ケアとテクノロジーの出会い
【教育講演】
看護診断分類タキソノミーⅡの解説
江川 隆子
1
Takako Egawa
1
1大阪大学医学部保健学科
1Nursing, School of Allied Health Sciences, Osaka University
pp.91-96
発行日 2003年3月15日
Published Date 2003/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7004100145
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はじめに
日本で出版されている『NANDA看護診断定義と分類2001-2002』(医学書院)では,今回解説するタキソノミーⅡの分類法が用いられています1).1973年から北米看護診断協会(NANDA)で開発されてきた診断概念の分類は,当初はアルファベットでリストアップされていましたが,1982年の第5回会議で理論家グループから診断分類の枠の構造図と概念枠組みの定義が提案されました.それが「交換」から始まる9つの反応パターンの概念枠組み(conceptual framework)で,「タキソノミーⅠ」といわれている分類法です.この分類法では,「交換」というカテゴリーに生理学的な診断ラベルが集中しており,他のカテゴリーに比較するとその容量が大きいことで,カテゴリーに偏りがあることが指摘されていました.看護にとって生理学も重要な学問ですが,医師とは異なりそれがすべてではありません.むしろ,社会的あるいは心理的な現象からのアプローチが看護では重要であり,それらの現象の起因に生理学的な要因があるとした考え方が主流であるからです.
このことは,看護診断概念がさらに開発されて,1994年には133,2000年には155と開発されるなかで,この分類法上では分類しきれない診断があることも明らかになってきました.そして,1996年の12回大会において,すでに新しい看護診断分類法の検討に入っていることが報告されました.その結果,記念すべき25周年の13回セントルイス大会でその分類法が提案され,現在に至っています.
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