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司会から
藤村 龍子
白畑 範子
看護記録は,情報源志向型記録から問題志向型記録またはフォーカスチャーティング,コンピュータ記録へと変化してきている.看護実践の場において,看護ケアシステムの改革,看護診断の導入や看護過程監査の実施など,変化の要因は多様である.看護記録の変化は,記録様式ばかりでなく質的にも変化しつつあると思える.その大きな要因として看護診断の導入があると思われる.それに伴って,下記の内容が変化してきたとも考えられる.
(1) 一次アセスメント充実のために,入院時データベースのフォーマットが変わってきた.
(2) 二次アセスメント(重点アセスメント)を明確に記述する必要性が認識されてきた.
(3) 看護診断の妥当性を明確にするために,患者の反応を記述することが強調されている.
(4) 看護診断に基づいた看護計画を記述するようになってきた.
(5) 看護評価を行うためには,看護実践に対する患者の反応を記述する必要がある.
(6) 看護過程監査のために,看護過程の記録が重要視されてきた.
(7) チーム医療が強調されるようになって,看護診断-看護計画-実践を他職種の人にわかるように記述する必要性が強くなってきた.
(8) コンピュータを活用することによって,看護記録が看護診断-看護介入法-期待される結果(患者目標の達成)を有機的に示し,実際の患者ケアの時間を確保できるように試作し始めている.
(9) 一般市民による医療情報公開のニーズが,診療記録を含めて変化しようとしている.
(10) 在宅ケアの方向に医療が大きく変化しようとしている.医療機関と在宅ケアを結ぶ看護情報,とりわけ看護診断と援助方法の継続的な共有が求められている.
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