第22回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
4.腎臓リハビリについて—大誠会における運動療法
松岡 哲平
1
1医療法人社団大誠会
pp.50-56
発行日 2020年4月30日
Published Date 2020/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003200198
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はじめに
透析患者は,高齢化,骨格筋の減少,筋力の低下,活動量の減少などから体力の低下を招き,生活の質(以下,QOLと略す),日常生活動作(以下,ADLと略す)が低下している.その運動耐用能は,心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のADLと同程度まで低下している.
維持透析患者の運動面について伊藤(2010)は,維持透析患者は同年代の健常高齢者と比較した場合,最大酸素摂取量では同年代の健常者のおよそ60%であると述べている.また,2010年のDOPPS研究(Tentori et al, 2010)では,運動習慣のない維持透析患者は運動習慣のある患者に比べて,生命予後が悪いことを明らかにしている.
近年は腎臓リハビリに関する学会が発足し,維持透析患者の運動療法の有効性について報告されており,運動を行っていない透析患者は生命予後が悪いとされ,1年後の死亡率は約1.8倍になると言われている(O'Hare et al, 2003).
透析患者に対する運動療法の効果として上月(2012)は,最大酸素摂取量の増加,左心室収縮機能の亢進,心臓副交感神経系の活性化,貧血の改善,MIA(低栄養・炎症・動脈硬化複合)症候群の改善,不安・うつ・QOL改善,ADL改善,前腕静脈サイズの増加,透析効率の改善,死亡率の低下が得られると述べている.
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