Japanese
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入門講座 透析患者の運動リスクと効果・2
透析患者への腎臓リハビリテーションとしての運動処方
Exercise prescription of renal rehabilitation for hemodialysis patients
米木 慶
1
,
松永 篤彦
2
Kei Yoneki
1
,
Atsuhiko Matsunaga
2
1JA神奈川県厚生連相模原協同病院医療技術部リハビリテーション室
2北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科
1Rehabilitation Center, Sagamihara Kyodo Hospital
2Department of Rehabilitation, Kitasato University School of Allied Health Sciences
キーワード:
血液透析
,
運動療法
,
透析時運動指導等加算
,
疾病管理
,
リスク管理
Keyword:
血液透析
,
運動療法
,
透析時運動指導等加算
,
疾病管理
,
リスク管理
pp.1087-1093
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202951
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本邦の透析患者についての疫学調査(2021年末)によると,70歳以上の構成比は男性54.0%,女性61.7%と高齢化が進んでいる1).加齢に伴って身体機能が低下することは知られているが,「Klotho」と名付けられた遺伝子の発見以降,慢性腎臓病は早老症(老化が異常に加速した状態)であるとの認識が広まっている.
図1は,透析クリニックへの外来通院が自立している血液透析患者の下肢筋力(膝伸展筋力),柔軟性(関節可動域),立位バランス,歩行機能(歩行速度)および身体活動量(歩数)を,同年代の健常者の平均値を100としたときの相対値で示したものである.このようにみてみると,透析患者の柔軟性,下肢筋力,立位バランスおよび歩行機能は同年代健常者の約7割までに低下しており,身体活動量に至っては6割に満たない状況にある.また,身体的フレイルの代表的な基準として知られるCardiovascular Health Study基準に当てはめると,約7割もの透析患者が,身体的フレイルあるいはその予備軍であることが明らかとなっている2).これらの要因には後述する多くの病態が関与するため,安全性を含めた運動療法の効果に関する正しい理解と客観的かつ有効性の実証された評価に基づく適切な運動処方が求められる.
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