日本腎不全看護学会誌 22巻1号 (2020年4月)

第22回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【会長講演】

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I.はじめに

 この度,第22回日本腎不全看護学会学術集会・総会を北海道札幌市で開催することができた.北海道での学術集会開催は初めてのことである.今回の大会は初めて尽くしで,令和になって初めての大会でもあり,また大学教員でもなく看護部長などの肩書きも持たない看護師が大会長を務めることも初めてであろう.

 今大会のテーマは,「Next Stage〜腎不全看護のこれまでと,これから〜」とした.本学会の歴史は長く1976年の日本透析看護研究会から始まり,日本腎不全看護学会になったのは1998年,2015年には一般社団法人となり,2018年には学会発足20周年を迎えた.6学会認定の慢性腎臓病療養指導看護師(Dialysis Care and Management of Chronic Kidney Disease Leading Nurse;以下,DLNと略す)も1,000名を超え,腎不全看護の発展のための活動を幅広く展開してきた.その中の一員として専門看護を真剣に考えていく活動にかかわれていることへの喜びと,これまでの発展に多大な功績・業績を残された諸先輩方に対して畏敬の念を抱かずにはいられない.

 北海道においても,DLNが増え,ついにはこの札幌で学術集会を開催させていただくことは1つの区切りであり,次の段階(Next Stage)へステップアップする好機と感じている.今日まで脈々とつながってきた腎不全看護への思いを絶やすことなく,今後の本学会発展への一助となるような学術集会にしたいと考えた.今回は,自分がたどってきた道のりと現在,そしてこれからの腎不全看護への思いについて報告したいと思う.

第22回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【特別講演】

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私の経歴

 私の経歴は,下記のとおりです.

1960年 誕生.山口県大島郡周防大島町で育ち,広島県の修道中学校・修道高等学校を卒業する.

1986年 順天堂大学医学部を卒業.同大学外科に入局する.

1995年 静岡県・伊豆保健医療センターに外科医長として赴任.在宅医療に出合い,地域医療の支援を開始する.

1999年 映画「パッチアダムス」を観て,順天堂大学の学是である「医は仁術」の医療にようやくたどり着く.

2004年 順天堂大学医学部附属静岡病院整形外科に入局.併せてペインクリニックで研修する.皮膚科・小児科等も学ぶ.

2004年 故郷の周防大島町にて「おげんきクリニック」を開院.思いやりの医療の創作・支援を開始する.

2012年 地域づくりが必要と考え,島の廃校を再利用した複合型介護施設「おげんきハグニティ」を開設.最期まで,自分らしく,笑顔とともに過ごしていただける地域支援に取り組む.

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はじめに

 医療の質と安全を担保する上で必要不可欠な倫理だが,多くの人々は倫理という言葉を聞くと「よく解らない」「難しそう」「とっつきにくい」「正直苦手」等々,マイナスなイメージを抱くのではないだろうか? 果たして「倫理的になる」とはどういうことを意味し,「倫理的な人」とはどのような人のことを意味するのだろうか?

第22回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】

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はじめに

 私を導いてくださり,また,ご存命ならきっと大平整爾先生が話されるであろうことを想像して,また,私が看護師へ日ごろ思っていることを,今回お話したいと思います.

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I.はじめに

 わが国は現在,諸外国がかつて経験したことのない超高齢社会を迎えている.加齢とともに生理機能はすべて低下するが,特に心機能,呼吸機能,腎機能の低下が顕著である.この中で腎機能の低下は薬物を排泄できなくなり,腎から排泄される薬物の血中濃度の上昇をきたし中毒性副作用の原因になる.30歳代に比べ80歳代では腎血漿流量が40%に低下し,腎機能,つまり糸球体ろ過量(glomerular filtration rate:以下,GFRと略す)は50%近くに低下し,半数以上が慢性腎臓病(chronic kidney disease:以下,CKDと略す)と診断される(Strehler et al., 1960).CKDとは蛋白尿,血尿などの腎障害の存在またはGFR 60mL/min/1.73m2未満が3か月以上続くものとされ,ステージ1〜5に分類されるようになった.2012年以降のCKDの重症度分類は,蛋白尿が高いことも末期腎不全への進行,心筋梗塞・脳卒中・心不全などの心血管病変死のリスクが高くなることから,GFRステージ,蛋白尿ステージがともに細分化されたヒートマップが利用されており(日本腎臓学会,2012),GFRが低いほど,薬物による中毒性や薬剤性腎障害が起こりやすくなる.また,尿蛋白区分はA1〜A3に区分され,尿蛋白区分の数字が大きくなるほど蛋白尿が多くなり,透析導入リスクとともに心血管病リスクも上昇するため,早めの腎臓内科への紹介が必要となる.

 高齢者は動脈硬化による腎血流の低下に伴って腎機能が低下しやすくなり,腎排泄型薬物の血中濃度が高くなって,中毒性副作用が起こりやすくなることが問題となっている.そのため「高齢者を見たらCKDを疑う」べきである.また薬剤性腎障害の最大のリスクは高齢者と腎機能低下患者であり,さまざまな病変を複数持ち,薬物療法を最も必要としているのは高齢者である.本稿では,高齢者薬物療法の中で最も注目すべきポイントである加齢に伴って増加する腎機能低下患者への医療人としてのかかわりについて考えてみたい.

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透析患者の年齢構成予測—就労世代の透析患者は当分減らない

 日本透析医学会による統計調査によれば,1997〜2017年の20年間で透析患者の平均年齢は59.2歳から68.4歳に,65歳以上の高齢者は全体の36.8%から67.1%に,75歳以上の後期高齢者は12.5%から34.2%と透析患者の高齢化は確実に進行している.

 中井ら(2012)は,2002〜2010年までの9年間の調査値から2011年以降の患者数を予測し2012年に報告している.この報告によれば,2021年末に34万8,873人で最大になり,その後減少に転じることが推計された.また同じ報告で,75歳未満の透析患者は2025年末まで少しずつ増加する一方,60歳未満の透析患者は2020年に11.3%,2025年には6.7%と急激に減少すると推計している.

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はじめに

 透析患者は,高齢化,骨格筋の減少,筋力の低下,活動量の減少などから体力の低下を招き,生活の質(以下,QOLと略す),日常生活動作(以下,ADLと略す)が低下している.その運動耐用能は,心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)のADLと同程度まで低下している.

 維持透析患者の運動面について伊藤(2010)は,維持透析患者は同年代の健常高齢者と比較した場合,最大酸素摂取量では同年代の健常者のおよそ60%であると述べている.また,2010年のDOPPS研究(Tentori et al, 2010)では,運動習慣のない維持透析患者は運動習慣のある患者に比べて,生命予後が悪いことを明らかにしている.

 近年は腎臓リハビリに関する学会が発足し,維持透析患者の運動療法の有効性について報告されており,運動を行っていない透析患者は生命予後が悪いとされ,1年後の死亡率は約1.8倍になると言われている(O'Hare et al, 2003).

 透析患者に対する運動療法の効果として上月(2012)は,最大酸素摂取量の増加,左心室収縮機能の亢進,心臓副交感神経系の活性化,貧血の改善,MIA(低栄養・炎症・動脈硬化複合)症候群の改善,不安・うつ・QOL改善,ADL改善,前腕静脈サイズの増加,透析効率の改善,死亡率の低下が得られると述べている.

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目次

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編集委員/編集後記

基本情報

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日本腎不全看護学会誌
22巻1号 (2020年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1344-7327 日本腎不全看護学会

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