第9回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
2.高齢透析者の療養上の課題とQOLを高める支援
佐藤 冨美子
1
1山形大学医学部看護学科
pp.15-17
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100296
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Ⅰ.高齢透析者のQOL
高齢透析者が健康を維持していくためには,継続して治療を受け,かつ長期にわたって生きる意欲をもち,体調を整える生活力が必要となる.すなわち,健康QOLが透析者の死亡や入院に関与していることが報告されており1),高齢者のQOLを高める支援が重要である.しかし,病気,透析による影響に加えて,加齢に伴う変化を体験している高齢透析者にとって,個人の力で生活力および生命力を高めることは容易ではない.
わが国の2005年における透析者は約6割が65歳以上で,約2割が75歳以上の後期高齢者である2).75歳までの前期高齢者とそれ以上の後期高齢者では,その人のもつ能力に違いがあり,支援の核が違ってくる.前期高齢者の場合は,透析療法,薬物療法,食事療法をスムーズに生活に組み入れ,心身を整えるセルフケア能力と社会的な役割を遂行できる予備能力があるように思われる.一方,後期高齢者は予備能力が低下し,通院に支援を必要とし,それらの支援を受けることに負い目を感じるなど,生活力および生命力を低くする要因が多様にある.
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