第9回日本腎不全看護学会・学術集会記録 【教育講演】
1.透析導入前後の医学的管理
田熊 淑男
1
1仙台社会保険病院
pp.13-14
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100295
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Ⅰ.保存期腎不全の管理
腎不全を呈する腎臓(不全腎)は,擬人化した言い方をすれば,70点の頭脳をもつ勤勉な蛍光灯のようなものである.ごくわずかな残存ネフロンが昼夜を問わず最大限の能力を発揮し,完璧とはいえないまでも生体の恒常性を保ってはいるが,速やかな適応ができない病態といえる.この病態を見極めた介入であれば残存機能をある期間は引き出せるが,不十分な理解のもとで介入すると,かえって進行を早めてしまう.
日常診療において最も高頻度な悪化因子は,不用意な利尿剤の使用,不適切な塩分制限,感染などであり,腎血流量が低下することが直接的な原因である.数日間のベッド上安静だけでも利尿により体液量は減少し,体重減少を伴った腎不全の悪化をみる.このような悪化因子を排除し,不全腎の能力を最大限に引き出し維持させることが,保存期腎不全の第一義的目標である.
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