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本研究はCAPDを行っている高齢療養者のセルフケア能力やQOLの実態を,CAPD若年療養者との比較において明らかにすることを目的とした.
全国の血液透析(HD)と腹膜透析(CAPD)の両方を扱っている1,292施設(1998年全国透析医学会施設会員名簿)から紹介された,研究への了解が得られたCAPD療養者700人を対象とした.有効回答は522人(74.0%)で,年齢が明らかであった509人(72.0%)を分析対象とした.
CAPD療養者を64歳以下の若年群,65歳から74歳以下の前期高齢群および75歳以上の後期高齢群との3群に分けた.3群間のセルフケア能力の平均値およびQOL26項目別の平均値の比較を,一元配置分散分析で行った.
CAPDの高齢療養者のセルフケア能力は年齢とともに低下するが,前期高齢群のセルフケア能力は若年群と同様に高く維持されていることが示唆された.後期高齢者では,体調の調整や身体面での気づきなど注意をはらうことが困難であるかも知れないが,有効な支援を活用する力はもちあわせているといえる.また,後期高齢者では,QOL項目の人間関係・社会関係に満足している.また,環境側面の安全性についても3群の中では満足度が高い.反面,加齢とともに生じるさまざまな喪失体験の現われが推察され,身体的・心理的な面でのQOLは低い.
高齢者の特性を勘案し,看護者白身の自助努力により,CAPDの高齢療養者を取り巻く看護システムや社会システムの将来を開発していくことが重要である.看護の重要な機能である看護agencyを高めることが,CAPDの高齢療養者の有効な支援を獲得するセルフケア能力を高め,CAPD療法を継続させることにつながる.
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