【研究報告】
1.内シャント造設患者の心理状態への援助―ロイ看護論の自己概念適応様式を活用した説明モデルの分析から
仲沢 富枝
1
1山梨県立看護大学短期大学部
pp.66-71
発行日 2005年11月15日
Published Date 2005/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100235
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Ⅰ.序論
1.透析導入期の患者の心理
人工透析は,生涯にわたって繰り返し行われる半永久的な治療であり,それだけに患者および家族への心理的影響が大きいことはいうまでもない.とりわけ透析導入前は,尿毒症物質からくる吐き気,嘔吐,食欲不振,倦怠感などの苦痛から身体変化がおこりやすい時期である.
慢性透析患者の心理的変化を,春木は「透析患者のたどる心理的プロセス」1)として6相(第1相:尿毒症の時期,第2相:透析導入期,第3相:回復安定期,第4相:中間期,第5相:社会的適応期,第6相:再調整期)に区分している.また,太田は「精神症状,心理的態度の時期的変化」2)として第7相:長期透析期を追加して透析歴(時期)別に共通する状況があると述べている.ほかにAbram3)や浅井4)は4~5相に区分している.
内シャント造設(以下,シャント造設)の時期は,「第1相:尿毒症の時期,第2相:透析導入期」として位置づけられ,この時期の心理状況は,透析と診断されたショック(精神的衝撃),死の不安,健康を失った挫折感,絶望感や無力感5)をいだきやすいといわれる.臨床で出会う患者からは,「自覚症状がなかったから放っておいたのがよくなかった」という後悔や「一生懸命食事に注意していたのにショックです」などの発言を耳にする.しかし,シャント造設という時期に焦点を当て,心理状態を明らかにし,援助について検討した先行研究は見当たらない.
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