【実践報告】
3.行動変容プログラムによる適切な目標設定により水分管理に効果がみられた一例
柿本 なおみ
1
,
宮本 寛子
1
,
岡 美智代
2
1公立甲賀病院
2北里大学看護学部
pp.112-116
発行日 2004年11月15日
Published Date 2004/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7003100201
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Ⅰ.はじめに
血液透析患者は,生涯,食事や水分・日常生活においてセルフケアを続けていく必要があり,導入期から維持期へと経過するなかで幾度となく教育を受けることで知識は得ているものの,適切なセルフケア行動を継続できない患者は少なくない.
行動変容プログラムは,学習理論や,認知行動療法や,保健行動モデルを参考にした人間の行動を変容する具体的な介入方法であり,セルフケア教育への応用など看護領域での実践活用が可能である1).行動変容プログラムのうち,ステップ・バイ・ステップ法,セルフモニタリング法,ピアラーニング法の基礎となるのが学習理論のなかの自己効力という考え方である(表1).自己効力とは,予測される状況や目標とする行動について,自信をもって遂行できるかどうかという判断や気持ち,考え方のことをいい,自己効力感の高さが課題の遂行に影響している2).
ステップ・バイ・ステップ法では,患者とともに段階的に目標や修正する行動を決めていくが,目標設定に無理があり,達成できそうにない目標をあげてしまうと,「実行できないかもしれない」という認知が生じ,自己効力感が低下する可能性がある.そのため,患者に合った目標にすることが重要である.
そこで,水分管理不良で入院となった血液透析患者に,体重増加量の減少を目的として行動変容プログラムによる介入を試み,適切な体重目標設定により効果が得られたので報告する.
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