特集 行動変容プログラムを用いた透析患者のセルフケア支援
―行動変容プログラムを用いた―高齢者への介入の実際
森山 知子
1
,
土屋 真奈美
1
,
岡 美智代
2
1宝池会吉川内科小児科病院透析室
2北里大学看護学部
pp.583-589
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100144
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はじめに
慢性血液透析患者は,過去10数年わが国において増加傾向にあり,透析療法の質の向上とともに,透析期間の長期化や高齢化,導入年齢の高齢化が進んでいる.
高齢者は,自分に生じた新しい出来事に対応するための情報を集め,見通しを立て対策を立てようと努力する気力が乏しい傾向にある.配偶者や身近な知人の死を経験したり,社会との交流が少なかったりする高齢者は,自分自身の存在感を感じることが希薄になっていく.
しかし,医療者は「高齢者だから自己管理は難しい」と諦める必要はない.医療者が,高齢者の生活によって築かれた価値観や考えに関心を示し,受け入れて共有することで,高齢者は自分の存在価値を見直し,残された人生を有意義なものにしたいと思うようになる.
筆者らは,体重管理が行なえない高齢透析患者が,体重管理の必要性に気がつき日常生活を見直し,医療者と協力的な関係を保ち,患者の意志で治療方法や自己管理の方法を決定し行動することで,高齢透析患者は自己実現を伴う自己管理が行なえると考えた.その方法として,当院では行動変容プログラム1)を取り入れることにした.
本稿では,84歳の高齢透析患者に行動変容プログラムを実施した事例を報告する.
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