特集 がん看護キーワード15 ~がん看護の基盤となる考え方~
がん患者とQOL
QOL
鈴木 久美
1
,
南口 陽子
2
Kumi SUZUKI
1
,
Yoko MINAMIGUCHI
2
1大阪医科薬科大学看護学部
2武庫川女子大学看護学部/がん看護専門看護師
pp.221-224
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_221
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QOLとは
quality of life (QOL)は生活の質とも訳されており,抽象的で複雑な概念である.QOLとは,個人が生活する文化や価値観の中で,目標,期待,基準または関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識であり1),自分の人生に満足しているという認知判断である2).そして,QOLの領域は4つの身体的,心理的,社会的,およびスピリチュアルなウェルビーイング(well-being)を含む3).このようにQOLは,多次元性と本人の認識に基づく主観性が存在する.
QOLと互換性のある概念が健康関連QOL (health-related QOL:HRQOL)である.HRQOLも多次元的で「人が生活の中でどれだけうまく機能しているか,健康の身体的・精神的・社会的領域において認識される健康状態」4)と定義されている.QOLとHRQOLは,図1のように概念構造が区別されており,HRQOLは身体面,機能面,心理面,社会面を含み,QOLにはこれらの4側面を支えるスピリチュアリティを位置づけている5).
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