- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
QOL調査票
QOL(quality of life)は本来その人個人に属するものである.ある患者,ある透析者が高いQOLをもった透析生活を営んでいるかどうかの判定は,あくまでその患者個人がなすべきものであって,医療スタッフなどの第三者の人生観や価値観で判断すべきものではない.しかしながら透析者のQOLを高める,あるいは損なう原因が客観的に評価できるなら臨床的に有意義と思われる.透析者の生活の質が問題として取り上げられるようになったのは,それだけ透析技術が成熟,定着したからだということを忘れてはならない.
Shipper によるとQOL測定法に必要な条件の第1として,疾患特異性がなくてはならないとしている.QOL調査票を作成するにあたり,その点に留意した.そこでわれわれは,透析患者の身体的・心理的ならびに社会的状況のなかから,透析の質にかかわる項目を選び,これによって「透析者のためのQOL調査票」を作成した(表1)1).透析者のQOLを5つの視点からとらえることとし,各視点別に5つのカテゴリーに分類しそれぞれ6項目,合計30項目を選定し,QOL調査票とした.それぞれのカテゴリーは,A.身体状態:一般的な体の状態,B.情緒状況:不安,抑うつなど,C.社会的生活:家族,友人との関係,経済的不安など,D.人生把握:生き甲斐,将来への希望など,E.自己調節とした.それぞれの結果をレーダーチャートに表してみると(図1),(1)全体的に調和がとれている調和型,(2)各カテゴリーにより得点に差がある歪み型,(3)いずれのカテゴリーも得点の低い縮み型,に分かれた.スタッフは,これを参考に精神面のサポートを試みている.
Copyright © 2000, JAPAN ACADEMY OF NEPHROLOGY NURSING. All rights reserved.