第17回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 ●教育講演1
臨床推論の力をつける人材育成
大西 弘高
1
Hirotaka Onishi
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
1The University of Tokyo's International Research Center of Medical Education
pp.43-44
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
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- 文献概要
臨床推論とは,当該患者の疾病を明らかにし,解決しようとする際の思考過程や内容を指す.医学領域では,診断をつけることで,あとは治療やマネジメント内容がかなり絞り込まれることから,臨床推論という語が,診断推論と同義で用いられることが多い.看護学領域では,診断という医行為に踏み込まないようにしつつ,看護診断,アセスメントといった用語で,患者の健康問題を同定し,看護ケアに関連づける取り組みがなされている.NANDA看護診断においては,看護師が診断専門家であること,看護アセスメントが看護診断に先立つこと,その後の思考過程を診断推論と称することが述べられている.
ここで,臨床推論を問題解決の一般的プロセスと対比して考えてみよう.問題解決のモデルは,経営学や心理学などの領域でいくつかあるが,一般的に,(1)問題の同定,(2)情報収集と整理,(3)仮説設定,(4)仮説検証,(5)解決策の利用,といった形で進む.問題の同定とは,患者さんが自覚した何らかの問題(病,illness)を,医療者が問題と認識することである.この問題をそれぞれの専門性に照らし合わせて解決することが臨床推論の始まりである.
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