Japanese
English
レター
死者と生者との対話―ある看護学生の英語読書記録から
Dialogues between the dead and the living: from an English reading diary of a nursing student
宮内 信治
1
Shinji MIYAUCHI
1
1大分県立看護科学大学
1Oita University of Nursing and Health Sciences
キーワード:
改正臓器移植法
,
対話
,
フランケンシュタイン
,
英語多読
,
revised organ transplantation law
,
dialogue
,
Frankenstein
,
English extensive reading
Keyword:
改正臓器移植法
,
対話
,
フランケンシュタイン
,
英語多読
,
revised organ transplantation law
,
dialogue
,
Frankenstein
,
English extensive reading
pp.71-73
発行日 2011年2月10日
Published Date 2011/2/10
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
平成22年7月17日、改正臓器移植法が施行され、同8月9日には、本人の意思不明で家族の承諾による初の脳死が確定し、臓器提供がなされました。報道によると、国内初の心臓移植がなされたのが1968年8月、本人が事前に書面で意思表示すれば脳死から臓器提供できる臓器移植法が成立施行したのが1997年で、その法律をもとに初の臓器移植がなされたのが1999年です。一つの事例をきっかけに法整備に30年、そこから実際に脳死判定からの臓器移植実施に一年以上かかったのに比べ、今回の改正法施行では、その後一ヶ月以内に本人意思の書面なしで家族承諾によって臓器摘出がなされたことを、みなさんはどのように受け取ったでしょうか。
末木1はその著書『仏教vs.倫理』で、近年の急速な社会の変化にルールがついていけない現状を指摘し、「死者の言葉を聞き取ったと思っても、それが生者の勝手な思い込みでないとどうしていえるのであろうか。死者の言葉と称して、じつは生者の自分勝手な欲望を語っているだけではないのか。(中略)もしかしたら、思い込みかもしれない。その畏れをつねに抱くからこそ、ますます虚心に死者の言葉に耳を傾ける他ないのだ。」と述べ、科学知識や技術、現代の合理主義では解決できない人の間のルール、すなわち倫理を超えた「超・倫理の問題」(p.102)1に対応する手段を考察し、他者、すなわち死者との対話の再考を促しています。
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