連載 ケアって何だろう・11
生者の時間と死者の時間
広井 良典
1
1千葉大学
pp.1066-1072
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905469
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年初から始まった本連載もいよいよ大詰めを迎え,残すところ2回となった.そこで今回は第6回で述べた「深層の時間とケア」という主題についてもう一歩掘り下げて考察を行ない,次回の最終回では,全体をふまえた「ケアの科学」の展望についてまとめてみたい.
連載第6回では,「直線的なライフサイクルのイメージ」と「円環的なライフサイクルのイメージ」ということについて述べ,それらが表層から深層への意識の水準ともいうべきものに対応しており,その最も根底には,「深層の時間」ともいうべきレベルがある,という議論を行なった.そして,この「深層の時間」とは「たましいの帰っていく場所」とも言い換えられるものであり,それをその人その人にとっての仕方で確かめることが,ターミナルケアにおいても最も本質的な要素をなすのではないか,ということを述べた.
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