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はじめに
「ロボット」には最先端技術がすべてそこに集約され,人間ができないこと,あるいは人間ができても苦労することを容易に実行できてしまうといった想像をわれわれに喚起させる.しかし,そのような想像は人間よりもはるかに精密で正確に,しかも迅速に作業をこなす産業用ロボットのイメージから惹起されているのではなかろうか.対人ではなく対物という工場での環境下において,ロボットはその技術特性を最大に発揮できるのである.そして,工場内での産業用ロボットの安全基準は厳格に確立している.
さて,リハビリテーション医療の現場を考えた場合,環境が180°異なることに気づくはずである.いわゆる医療用ロボット(本稿では臨床現場において治療目的で使用するロボットをこのように定義する)は対人下でロボットを使用する.対象とする相手(ここでは患者を指すが)のみならず,ロボットを使用する側もリハビリテーション現場のスタッフ(医師やPT,OT)である.産業用ロボットにおいて当たり前のように確立されていた安全基準やそのロボットが目的とする作業内容(医療における適応に相当する)などが,医療用ロボットにおいては現在までのところ十分には確立されていないし,確固たる仕組みもないのが現状である.このような状況下で,テクノロジーの飛躍的な進歩によって続々とロボットが開発されている現実がある.それとは裏腹に,臨床現場でそれらが本当に役立つかどうかの検証が間に合っていない状況が存在する.この検証の仕組みが,臨床現場でロボットを有効に活用するためには不可欠であり,早急な構築が必要である.
今後,臨床現場でロボットテクノロジーを用いたリハビリテーション(ロボットリハビリ®.ロボットリハビリ®は社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団の商標登録)の実践を考える場合,少なくとも以上のような事柄を念頭に置いておく必要がある.
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