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はじめに
なぜ最近になって日本でロボットがこれほどまでに注目されるようになったのか.ロボットテクノロジーは世界中で研究開発されているが,その多くは産業用ロボットである.日本も長年にわたり産業用ロボット大国として世界に君臨してきた.しかし,新興諸国の台頭により産業用ロボット大国としての地位はいまや危うい状況である.そこで,日本は次世代の国家成長戦略として医療・福祉介護分野へのロボットテクノロジーの応用を重視した方針を打ち出したのである.この方針こそ,日本においてロボットが注目されるようになった大きな要因である.さらに,この方針を打ち出した背景には,もちろん日本における技術力の高さが根底にあるのであるが,世界に先駆けてまず日本が直面する超高齢社会の到来に対する対策であることを忘れてはならない.その方向性から,超高齢社会の担い手である介護者の負担軽減や代替,高齢者の生活支援に重点を置いたロボットが脚光を浴びていることは周知のとおりである.
一方では,治療手段として障害をもった方々を対象とした医療分野への応用のためのロボットテクノロジーを用いたリハビリテーション(以下,ロボットリハビリ.「ロボットリハビリ」は社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団の商標登録)はいまだ途上であり,未熟である.リハビリテーション医療分野におけるロボットは「義肢」から「リハビリ支援ロボット」まで実に幅広く研究開発が行われている.しかし,確実なエビデンスをもって医療分野に応用できるロボットはいまだきわめて少ないことにも留意が必要である.今ようやく,その目的を達成するためのロボットテクノロジーの基盤が整いつつあるというのが正しい認識であろう.近い将来,間違いなくリハビリテーションの分野においてロボットリハビリは主要な柱となる.これからまさにその真価が問われるといっても過言ではない.
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