Japanese
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特集 機能回復のメカニズム
中枢神経系における機能代償の生理学―シナプス結合の可塑性
Physiological Mechanisms of Recovery of Functions in the Central Nervous System; Synaptic Plasticity.
藤戸 裕
1
,
塚原 仲晃
1
Yutaka Fujito
1
,
Nakaakira Tsukahara
1
1大阪大学基礎工学部生物工学科
1Department of Biophysical Engineering, Faculty of Engineering Science, Osaka University.
キーワード:
機能代償
,
シナプスの可塑性
Keyword:
機能代償
,
シナプスの可塑性
pp.11-18
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104468
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はじめに
高等動物特に哺乳類は,その発達した中枢神経系のはたらきにより,外界の状況の変化に対してその行動様式を変えることによって,うまく適応する能力を持っている.その学習・記憶・適応と代償の機能は,脳の特異的な機能であり,そのメカニズムの解明は神経科学(neuroscience)の分野における大問題となっている.
神経系の可塑性(plasticity)はそれらの機能の基礎過程をなすものと考えられており,近年特に注目されている.学習,記憶などの生理的状態における脳の可塑的機能と脳障害に対する代償機能を同列に論ずることには危険が伴うが,これらの機能の基礎メカニズムとして神経細胞レベルの可塑性現象が考えられている.この小論では,神経細胞間の結合の長期の可塑性つまりシナプス結合の可塑性の最近の研究を中心に述べたい.
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