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教育講座
自閉スペクトラム症のリハビリテーション—感覚処理障害に対する理解と支援
Rehabilitation for Autism Spectrum Disorder : Intervention and Understanding for Sensory Processing Disorder
松島 佳苗
1
Kanae Matsushima
1
1関西医科大学リハビリテーション学部
キーワード:
自閉スペクトラム症
,
感覚処理障害
,
協調運動障害
,
作業療法
,
小児
Keyword:
自閉スペクトラム症
,
感覚処理障害
,
協調運動障害
,
作業療法
,
小児
pp.1027-1033
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
- 販売していません
- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)は,神経発達症群に含まれる発達期に発症する疾患である.「社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥」と「行動,興味,または活動の限定された反復的な様式」が診断基準に挙げられ,幼児期早期から日常生活の制限を示す1).ASDの臨床像は多様であり,障害の重症度も非常に幅広いことから,スペクトラムという概念が用いられている.ASDの有病率は世界的に増加傾向にあり,米国疾病管理予防センター(Center for Disease Control and Prevention:CDC)は,8歳時点で59人に1人といった調査結果を報告している2).社会的認知の向上による過剰診断を懸念する声もあるが,「生きづらさ」を感じている子どもが増えていることもまた事実である.そして,幼児期から「生きづらさ」を感じているASD児に対する早期からのリハビリテーションの介入は,単に日常生活や社会生活の支援にとどまらず,発達的支援や二次的障害の予防という観点も含んでおり,養育者や家族への支援も同様に重要となる.ASDなどの神経発達症児の養育者や家族は,日常的に「育てにくさ」を感じている場合が多く,周囲の不理解や育児ストレスに苦しんでいる場合も少なくないだろう.被虐待経験がある児童や乳児院入所児には,高頻度にASDの徴候がみられることも報告されているが3, 4),適切な家族支援が早期から提供されることで回避できた問題もあるかもしれないと考える.
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