連載 リハビリテーション医学研究のこれから
これからの義手の手先具
浅見 豊子
1
,
村田 和樹
1
,
高原 光平
1
,
田口 雅也
2
,
琴浦 健二
2
,
青野 翔
2
,
北村 葉月
2
,
有薗 洋一
3
1佐賀大学医学部附属病院リハビリテーション科
2佐賀大学医学部附属病院先進総合機能回復センター
3佐賀有薗義肢製作所
pp.1041-1043
発行日 2021年9月18日
Published Date 2021/9/18
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はじめに
先天性の上肢欠損あるいは病気や外傷による上肢切断には義手が有用である.義手の種類には,装飾用義手,作業用義手,能動義手,動力義手があり,義手は手先具,ソケット,肘継手,ハーネス,ケーブルなどにより構成されている.手先具には,フック型やハンド型の他,作業用義手の手先具としては,農業・林業・木工作業などに使用するために,曲鉤,双嘴鉤,物押さえ金具,鎌持ち金具,鍬持ち金具などをバネヨット構造の手継手によって自助具のように作業ごとに交換する場合もある1).
近年,義手を使用する年齢層や用途は拡がっている.これは,義手が上肢欠損者の活動の拡がりにつながっていることを示すことでもあり,大変喜ばしいことである.しかし,その反面,手先具の種類は限られており,年齢層や用途の拡がりに対応できていないことは,上肢欠損者の活動への支障にもなることであり,問題であると思われる.
当院では,2001年以来,高機能義手である動力義手の中の筋電義手のトレーニングを行ってきており,成人のみならず多くの小児例も対象となっている.この筋電義手は,上肢欠損者のさまざまな動作を可能とするものの万能ではなく,さまざまな動作に対応するためには作業用義手の範疇に入る義手の手先具を,症例のニーズに応じて製作する必要がある2-8).
現在,手先具の種類やその支給体制を確立することを目的として研究を進めているが,今回は要望に応えて製作してきた小児の作業用義手の手先具について紹介する.
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