連載 リハビリテーション医学研究のこれから・【新連載】
集中治療領域における早期リハビリテーション
松本 健
1
,
酒井 良忠
1
1神戸大学医学部付属病院リハビリテーション科
pp.974-975
発行日 2020年10月16日
Published Date 2020/10/16
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- 文献概要
リハビリテーション医学は,疾病の予防の時点から回復期に至るまで広いステージにおいて役割がある領域である.そのため,診療のみならず研究においてもさまざまな分野で進められている.当院リハビリテーション科では,炭酸ガスによる組織修復効果や抗腫瘍効果,骨転移のあるがん患者に対する集学的診療における骨転移キャンサーボードの有用性,がんリハビリテーションとサルコペニア・フレイルとの関係性,回復期病棟における栄養療法など,臨床研究を中心に多岐にわたり取り組んでいる.その中でも今回は,集中治療領域における早期リハビリテーションについての研究を紹介させていただく.
近年ますます早期リハビリテーションが関心を集めており,先行研究では早期リハビリテーションがせん妄の改善,人工呼吸器装着期間の短縮,ADLの改善につながることが報告されている.集中治療においては医学の発展に伴い死亡率が低下しているが,一方で患者数は増加傾向を示している.生存退院している患者が増えているが,その中で日常生活を自立して過ごせている人もいれば,そうでない人もいる.機能予後の改善を促すための1つの手段として,早期リハビリテーションが重要視されている.それを反映してか,診療報酬改定により,2018年から「早期離床・リハビリテーション加算」が始まった.そうした隆盛から,当院でも集中治療科医師,看護師,理学療法士,栄養士,薬剤師,そしてリハビリテーション科医師がチームを結成し,早期離床・リハビリテーション回診を実施している.チームで集中治療を受けている患者を評価し,適切で安全なリハビリテーション治療を検討している(図1).
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