Japanese
English
Secondary Publication
二次出版:急性期脳梗塞による失語症患者の左弓状束Fractional Anisotropy値低下
Secondary Publication:Reduced Diffusion Tensor Fractional Anisotropy in the Left Arcuate Fasciculus of Patients with Aphasia Caused by Acute Cerebral Infarct
小山 哲男
1,2
,
道免 和久
2
1西宮協立脳神経外科病院リハビリテーション科
2兵庫医科大学リハビリテーション医学
キーワード:
評価
,
言語
,
帰結
,
予後
,
脳卒中
Keyword:
評価
,
言語
,
帰結
,
予後
,
脳卒中
pp.868-876
発行日 2020年9月18日
Published Date 2020/9/18
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要旨
背景:MRI拡散テンソル画像(DTI)は脳内神経線維を評価する新しい画像診断である.われわれは,急性期脳梗塞により失語症を呈した患者を対象にDTI撮像を行い,同年齢層の対照群との比較のもと,失語症の責任病巣を検討した.
方法:初発脳梗塞後14〜21日目の失語症患者においてDTIを撮像した.撮像データよりfractional anisotropy(FA)画像を作成し,tract-based spatial statistics(TBSS)解析を行った.失語症群と対照群において,脳画像の群間比較を行った.さらに,個々の症例のTBSSデータに左右の弓状束を関心領域(ROI)に設定してFA値を抽出した.FA値の左右比について,失語症群と対照群の群間比較を行った.
結果:解析データベースは失語症群10名と対照群21名であった.脳画像の群間比較では,失語症群において左弓状束FA値が統計的有意に低値であること示された.症例ごとにFA値を抽出したROI解析では,失語症群においてFA値の左/右比が統計的有意に低値であることが示された(中央値[範囲]:失語症群0.955[0.739〜1.023].対照群1.006[0.982〜1.088];Wilcoxon順位和検定p=0.0001).
考察:脳梗塞急性期の失語症患者において,左大脳半球の弓状束FA値の低下が示された.急性期患者においては,慢性期で観察される神経的回復が起こっているとは考えにくい.急性期患者を対象とした本研究の知見は,左弓状束が失語症発症に重要な神経束であることを示唆する.
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