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教育講座
上位頚椎損傷—損傷型に応じた治療法の選択
Upper Cervical Spine Injury : Treatment Strategy
渡辺 雅彦
1
Masahiko Watanabe
1
1東海大学医学部外科学系整形外科学
キーワード:
上位頚椎損傷
,
後頭環椎損傷
,
環椎破裂骨折
,
軸椎歯突起骨折
,
Hangman骨折
Keyword:
上位頚椎損傷
,
後頭環椎損傷
,
環椎破裂骨折
,
軸椎歯突起骨折
,
Hangman骨折
pp.742-748
発行日 2020年8月18日
Published Date 2020/8/18
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はじめに
加齢によりロコモティブシンドローム,さらに運動器不安定症になると転倒リスクが増加する.そのため,各種ギアの安全性能向上により交通事故などの高エネルギー外傷による頚椎損傷が減少傾向にある一方で,高齢化社会の進行とともに転倒による頚椎頚髄損傷は増加している.転倒予防にはバランス訓練と筋力トレーニングを組み合わせたロコモーショントレーニング(ロコトレ)などの指導が有効であり,早期にリハビリテーション医療の介入を行い転倒予防に努めることは大腿骨近位部骨折のみならず頚椎頚髄損傷の予防の意味でも今後さらに重要になる.
頚椎の可動は,若年者では主に中下位でなされるが,加齢に伴う中下位頚椎の変性により高齢者では上位頚椎の占める割合が大きくなる.そのため,青壮年者では全頚椎損傷のうち中下位頚椎損傷が約7割を占めるのに対して,高齢者では逆に上位頚椎損傷が約7割を占める1).すなわち,上位頚椎損傷は高齢化の進行により今後もさらに増加する損傷である.そして,その治療においては,受傷機転や損傷型を理解し選択することが重要である.本稿では,上位頚椎損傷における年齢による影響および代表的な損傷について概説する.
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