Japanese
English
特集 脊椎外傷—早期の病態・診断・治療—(第7回脊椎外科研究会より)
上位頸椎損傷
Upper cervical spine injuries
小山 正信
1,2
,
服部 奨
1
,
早川 宏
1
,
礒部 輝雄
1
,
伊達 洋次郎
1
,
小田 裕胤
1
,
今釜 哲男
1
,
井之川 義典
1
Masanobu OYAMA
1,2
1山口大学医学部整形外科学教室
2現在:山口労災病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Yamaguchi Universiy School of Medicine
pp.319-328
発行日 1979年4月25日
Published Date 1979/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905883
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緒言
近年交通の軸輻湊化に伴い,頸椎損傷患者も増加の傾向にあり,上位頸椎損傷例も増加している.上位頸椎は頭蓋骨の直下で,形態学的にも,機能的にも,中・下位頸椎とは著しく異なる部位である.解剖学的には環椎と軸椎は頭部と脊椎の移行部にあたり,機能的には後頭骨・環椎・軸椎は統一性を有しながら大きな運動範囲を持つている.運動のうち,主たる回旋運動は環椎の前弓と横靱帯との間に囲まれて存在する歯突起与軸として,環軸関節が主となつて行なわれ,全頸椎の回旋の50%はこの部位で占められている1).前方部分の運動の中心都は強靱で大きい横靱帯と翼状靱帯で結合され,運動の中心部から離れた部位は比較的弛緩した粗で脆弱な結合織で連結されている.すなわち,後方部分では環椎・軸椎間は椎弓間靱帯を欠き,他の頸椎部に比しゆるく結合され,大きな動きが可能なように形作られている。これは機能的には好都合であるが,外力に対しては抵抗減弱部となつている.また,上位頸推部は第3頸椎以下と異なり,椎間板がないため,衝撃吸収機構がないことが,本損傷の発生に大きく関与していると思われる.
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