特集 上位頚椎疾患―その病態と治療(第23回日本脊椎外科学会より)
上位頚椎疾患―その病態と治療
片岡 治
1,2
1第23回日本脊椎外科学会
2国立神戸病院・整形外科学
pp.342-343
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901593
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平成6年6月3,4日に神戸市で開催された第23回日本脊椎外科学会の主題は,「上位頚椎疾患―その病態と治療」といたしました.上位頚椎部は脳外科との境界領域でもあり,病変の見落としも多く,かつその疾患の呈する神経症状は多彩であります.このテーマは過去2回の脊椎外科研究会の主題に取り上げられたものでありますが,2回目の第11回研究会の時点からもすでに12年が経過しており,また,その間の脊椎外科領域の発展は目覚ましいものがありました.とくにCTとMRIの出現はこの領域の画像診断と病態把握に長足の進歩をもたらしたといえましょう.また,電気生理学の応用も特筆すべきものでしょう.さらに,治療面におけるair drillやinstrumentation surgeryの導入も脊椎分野の手術的治療に多大の貢献をなしてきました.そして今まで等閑に付されていたRAの頚椎病変がクローズアップされ,先天性や外傷性の上位頚椎部病変と共に,上位頚椎部の対象疾患として多くの問題を提起するようになりました.これらが,あらためて上位頚椎部疾患を主題に選んだ主な理由であります.
当初,主題に上位頚椎疾患を選ぶのに,その疾患の普遍性の点でやや躊躇しましたが,蓋を開けると主題演題は108題の多きを数え杞憂は吹き飛びました.脊椎外科領域におけるこの問題の重要さを示唆するものでありましょう.
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