巻頭言
活物窮理(かつぶつきゅうり)
才藤 栄一
1,2
1日本リハビリテーション医学会
2藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学Ⅰ講座
pp.264
発行日 2016年4月18日
Published Date 2016/4/18
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- 文献概要
徳島大学の梶龍兒先生から華岡青洲(1760〜1835年)の「物を活かして理を突き詰める」というこの言葉を耳にしたのは2010年11月でした.そして,翌年11月,青洲の仕事場(というよりは彼の町)の跡地に造られた「青洲の里」(和歌山県)を訪れ,その仕事ぶりを味わいました.彼が自分で設計し暮らした,工夫あふれる住居兼仕事場の春林軒は見ていてうれしくなるものでした.
青洲は江戸時代の外科医で,世界で初めて自分で考案した麻酔薬を用い麻酔下での手術(乳がん)を成功させたとして知られています.彼は麻酔薬だけを考案したのではなく,手術器具をはじめ,自分が生み出した数多くの道具の中で暮らしていました.外科医であった彼が麻酔薬を創ったのはその必要性からであり,それは,すぐれた専門家になるにはすぐれた道具が必要であり,なければ創る,という合理的生き方をあらわすものです.
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