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教育講座
神経科学とリハビリテーション医学を接続する—BMIリハビリテーションを題材として
Connecting Neuroscience to Rehabilitation Medicine : A Study through BMI Rehabilitation Research
牛場 潤一
1
Junichi Ushiba
1
1慶應義塾大学理工学部生命情報学科
キーワード:
脳卒中片麻痺
,
ニューロリハビリテーション
,
神経科学
,
ブレイン・マシン・インターフェース
,
システムズアプローチ
Keyword:
脳卒中片麻痺
,
ニューロリハビリテーション
,
神経科学
,
ブレイン・マシン・インターフェース
,
システムズアプローチ
pp.316-323
発行日 2016年4月18日
Published Date 2016/4/18
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- Abstract 文献概要
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- 参考文献 Reference
はじめに
本稿では,慶應義塾大学理工学部リハビリテーション神経科学研究室と同大学医学部リハビリテーション医学教室がこれまでに取り組んできた「ブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface,以下BMI)を用いた脳卒中片麻痺治療」の取り組みを紹介しながら,その背景で検討してきた研究上の考え方を紹介し,リハビリテーション(以下,リハ)医学研究の発展に広く資することを目的とする.BMIを含むニューロリハ研究は国内外を問わず流行しているが,研究はまだ個別的であり,背景にある理論の整備は未整備か,あるいは部分的であるように思われる.そこで,本稿は特に初学者を想定読者として,BMIやニューロリハの背景が理解しやすいように,これまでの研究上の考え方をできるだけ構造化するように工夫した.ここでまとめた考え方を基本として,修正や拡張が行われ,神経科学とリハを結びつけた新学術の創出につながれば,望外の喜びである.
文中で重要と思われるキーワードには下線をつけた.これらは,これまでのリハ医学ではどちらかというと馴染みのない用語であり,制御工学,システムバイオロジー,再生医学などの学術領域で用いられているものを意識的に導入している.これは,ある特定の現象,状態,部位をあらわす静的な用語だけでなく,ある状態からある状態へ遷移する過程や,そのダイナミクスが起きる仕組み,そしてそれを人工的に誘導するための方法を指す,動的な用語が中心に据えられるようにしたいと考えたからである.下線のついた用語に関心がある場合には,文末文献1-3)を併せてお読みになることをお薦めする.
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