視座
内外合一・活物窮理(ないがいごういつ・かつぶつきゅうり)
山田 宏
1
Hiroshi YAMADA
1
1和歌山県立医科大学医学部整形外科学講座
pp.849
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202079
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「内外合一・活物窮理」は,紀州・和歌山が生んだ在野の偉人であり,「医聖」とも評される華岡青洲(1760〜1835年)の人生訓・医療理念です.青洲が,江戸時代に麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を発明し,全世界に先駆けて全身麻酔下で乳がん摘出手術を成功させた偉業は,医療関係者なら知らぬ者はいないでしょう〔ちなみに,通仙散の主成分である薬草の曼陀羅華(まんだらげ)は,わが母校,和歌山県立医科大学の校章の意匠になっていて,医大敷地内には「活物窮理」の顕彰碑が建っています〕.私は昔からこの言葉が好きで,次年度に私が会長を仰せつかっている第12回日本成人脊柱変形学会(開催地:和歌山市,期日:2022年3月5日)のテーマとして採用させていただきました.
さて,内外合一とは「外科を行うには,内科,すなわち患者さんの全身状態を詳しく診察して,十分に把握した上で治療すべきである」という意味です.活物窮理とは「治療の対象は生きた人間であり,それぞれが異なる特質をもっている.そのため,人を治療するのであれば,人体についての基本理論を熟知した上で,深く観察して患者自身やその病の特質を究めなければならない」という教えです.
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