第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》最近リウマチ治療―座長/織田 弘美
生物学的製剤時代における関節リウマチリハビリテーションの動向
村澤 章
1
,
中園 清
1
,
石川 肇
1
,
大谷 博
2
,
曽川 裕一郎
2
1新潟県立リウマチセンターリウマチ科
2新潟県立リウマチセンターリハビリテーション科
pp.699-703
発行日 2012年10月18日
Published Date 2012/10/18
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はじめに
四半世紀前,関節リウマチ(以下RA)は特殊分野として扱われ,ステロイド関節内注入や滑膜切除などの局所療法や鎮痛剤,ステロイド剤の薬物療法が併用されていた.抗リウマチ薬としては金剤やメタルカプターゼが主流であった.人工関節手術が股や膝関節に導入されたが,もっぱら治療対象は晩期の寝たきりに近い関節リウマチに置かれていた.その後,整形外科医と内科医やリハビリテーション(以下,リハ)科医の連携が深まり,RAの合併症の診断と治療や免疫抑制薬としてのメトトレキサート(MTX)を主とした多種類の薬剤使用,リハ医療が充実した.
2003年から,リウマチの病巣原の炎症を強力に抑制する生物学的製剤が新たに登場し,リウマチを寛解に導く可能性が期待されるようになってきた.しかし,同時に限界も明らかとなってきた.関節破壊が高度に進行する群の予測因子は依然として不明であり,軟骨破壊の進行抑制は不十分なままである.軟骨破壊にはより複雑な機序が関与しているものと考えられている(図1).
生物学的製剤時代において望まれる新リウマチ治療体系は,MTXや生物学的製剤,さらに新たに登場する新薬を,早期に,安全に,どの医療機関でも使用できる医療体制作りや,かかりつけ医と専門医,一般病院と専門病院などの医療連携による内科,整形外科,リハ科によるトータルマネジメントの確立と,それを支援する行政の積極的な関わりの構築にある.
このようなリウマチ治療の変遷の中でリハアプローチも初期の障害が可逆的な時期の早期リハの重要性や関節保護,患者教育などがクローズアップされている.
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