第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》Brain-Machine Interface(BMI)でImpairmentに切り込む―座長/江藤 文夫・神作 憲司
BMIによる障害者自立支援
神作 憲司
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1国立障害者リハビリテーションセンター研究所
pp.704-709
発行日 2012年10月18日
Published Date 2012/10/18
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はじめに
脳からの信号を計測し,それを利用して機器操作を行い,コミュニケーションの補助,生活環境の制御,運動の補助などを行おうとする,「ブレイン・マシン・インターフェース(Brain-Machine Interface:BMI)」もしくは「ブレイン・コンピュータ・インターフェース(Brain-Computer Interface:BCI)」と呼ばれる新技術が注目されている1,2).
BMIは,脳からの信号を測定する電極等を留置するために手術を必要とする『侵襲型』と,手術を必要としない『非侵襲型』に分類される.手術を必要とせず,非侵襲的に脳からの信号を測定する手法としては,脳波(EEG),陽電子断層撮影(PET),機能的磁気共鳴画像法(fMRI),脳磁図(MEG),近赤外分光法(NIRS)等が挙げられる.脳波は,頭皮上の電極から比較的簡便に測定することができ,時間分解能も高いため,BMIで多く利用されている.これまで,脳波の空間分解能は低く,得られる情報に制限があり複雑な情報を引き出すことは難しいと考えられていたが,信号取得や解析の手法を工夫することでこうした点が改善されてきた.感覚運動の変換過程における脳波の周波数特性や,P300等の認知機能を反映する成分等が,脳波を用いたBMIの研究開発で着目されている.
本稿では,著者らが開発してきている,BMI技術に基づきワープロや家電などの環境制御を可能とするシステム等を紹介しながら,BMIがリハビリテーション(以下,リハ)医学分野に貢献する可能性について論じていきたい.
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