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はじめに
医学研究をとりまく環境は近年大きく変わってきている.厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針1)」は2008年7月30日に改正され,2009年4月1日から施行されているが,その中でヒトを対象とした介入研究および観察研究においては,生命倫理・安全および個人情報保護に関して十分に配慮することや研究者および研究責任者の責務,倫理審査委員会の設置,インフォームドコンセント等に関して遵守すべき基準が指針として明確に示されている.従って,今後,臨床研究を行う際には,大学や研究機関はもとより一般の市中病院においても,本指針を遵守し適正に臨床研究を実施する必要がある.また,大規模研究の研究費取得や一流の英文雑誌への掲載にあたっては,研究の質が重視され,ランダム化比較試験(RCT)などの介入研究においては,研究体制を組織・マネジメントできる能力が求められる.
もはや,医学研究は独力で臨床の片手間に行う時代ではなく,研究プロジェクトとして,関連他科医師,療法士,看護師などの多職種スタッフからなる研究体制を構築しなくては成し得なくなってきている.その中核となるのはリハ科専門医であるが,日本リハビリテーション医学会(以下,本学会)の研修施設である大学や地域中核病院のリハビリテーション(以下,リハ)医学教育の場において,研究に関する研修カリキュラムが十分ではないのが現状である.今後,Research Mind をもった専門医,すなわち臨床能力に優れているだけでなく,研究のアイデア(=Research Question)を豊富にもち,研究プロジェクトを組織し,学術研究を積極的に推進できるような専門医(=Physician Scientist)を育成する必要にせまられている2).
本稿では,本教室を例としてとりあげ,研究体制構築の方策についてResearch Mind をもった専門医の育成を中心に私見を述べる.
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