焦点 看護研究と倫理
看護研究の倫理審査体制づくり
南 裕子
1
1兵庫県立看護大学
pp.99-108
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900599
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
人間を対象とする研究において倫理的配慮が注目されるようになったのは,第二次世界大戦中ドイツのナチによって行なわれた非倫理的で残虐な研究が,戦後裁判等で糾弾されたことに始まる。その結果,1947年に「ニュールンベルク倫理綱領」が採択された。この綱領では,冒頭で「医学的研究においては,その被験者の自発的同意が本質的に絶対に必要である(星野,1999,参考資料Ⅱ,p. 13)」と述べられ,そのためには,研究の実施される前に,被験者に対して「研究の性質,期間,目的,実験方法や手段,被験者となったために起こりうると考えられるすべての不自由さや危険,健康や人格に対する影響」について知らせる必要がある。その上で被験者から自発的同意を得るのであるが,その責任は研究の実施責任である各研究者個人にあると明確に記されている。
その後,世界のあちこちで,さまざまな組織が人間を対象とする研究を行なう場合の倫理判断と行為に関する論議を行なってきた。世界で最も影響力のあるものとしては世界医師会の「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」であろう。これが初めて採択されたのは1964年のフィンランドのヘルシンキであったので,「ヘルシンキ宣言」として有名である。その後,1975年の東京総会以降5回修正されている。最も新しいのは2000年10月,ロンドンで開催された第52回世界医師会総会で修正されたものである(本誌,pp. 70-72)。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.