視座
整形外科研究体制のあり方
都築 暢之
1
1埼玉医科大学総合医療センター整形外科
pp.1345
発行日 1995年12月25日
Published Date 1995/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901781
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1995年は戦後50年にあたり,各分野で戦後50年の成果の検討,反省が行われている.学問の世界ではどうだろうか.我が国の特徴とされる『基礎技術輸入~応用体質』を脱し,『独自で基礎技術を開発する体質』に移行したであろうか.今年春の日本学術会議だよりNo. 37の『我が国の学術体制を巡って』を興味深く読んだ.同文の要旨は,我が国の学術体制は高度とはいいがたく,独自基礎研究を含め種々の分野で学問的に遅れをとる危機的状況が伏在しているとしている.また,最近英米両国が工学,農学,医歯薬学などの分野での産学協同研究を戦略研究として重視し始めたことを指摘し,その成果は経済効果と直結し,企業のみならず研究者も潤すものであり,それに遅れをとれば我が国はますます差を付けられることを危惧し,戦略研究の開始と高度研究体制の構築が必要と訴えている.同趣旨のことを平成7年第9号の日本脊椎外科学会報に25回の学会長蓮江光男氏が述べられている.同会長は日本には少教の独創的世界的研究はあるものの,脊椎外科分野全体としては外国人の頭脳と製品に頼る貿易赤字状態にあるとし,一層の創意・工夫を求めている.整形外科の戦略研究とは何か.日本の高齢化社会が整形外科に最も求めているのは,痛みのない良好な四肢脊柱関節機能の維持であろう.
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