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シンポジウム 言語聴覚士のあるべき姿の再考—成人言語聴覚障害領域
座長記
Preface
藤田 郁代
1
Ikuyo Fujita
1
1国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科
pp.11-13
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200023
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わが国で言語聴覚障害の専門職による臨床が始まってから約60年が経過したが,この間のepoch-makingな出来事といえば1997年の言語聴覚士法の成立であろう.これにより言語聴覚士は医療福祉の枠組みの中で責任を持って専門的サービスを提供できるようになり,また新制度で教育を受けた言語聴覚士が誕生し現場で活躍するようになった.言語聴覚士法制定の背景には言語聴覚療法へのニーズが高まったことに加えて,少子高齢社会を乗り切るための医療福祉制度整備への強い要請があったことは疑いないであろう.よって言語聴覚士はその誕生と同時に介護保険の開始と回復期リハビリテーション病棟の設置を迎え,地域リハビリテーション重視の方向性で臨床活動を行うこととなった.また,疾病構造の変化に伴い言語聴覚療法の対象は拡大し,摂食嚥下障害や認知症の比重が増してきた.
このような環境変化の中で,言語聴覚療法の臨床形態は大きく様変わりしてきた.特に介護保険が開始となった2000年からの変化は著しく,新しいシステムや疾病構造の変化に対応した専門的サービスの創出と提供が求められるようになった.その中心的な担い手になったのは,言語聴覚士法制定以降に臨床に参入してきた若い言語聴覚士である.現在,この若い言語聴覚士と国家資格化以前から言語聴覚療法に携わっていた者との間に,ある種のギャップが存在すると感じる者は少なくないであろう.それは経験年数や知識・技術の幅や量にとどまらないギャップであり,専門職としてのstand pointにかかわるものであるように思われる.
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