特集 高齢者の下肢病変と在宅支援
理学療法士・作業療法士介入の現状と展望
河辺 信秀
1
,
渡部 祥輝
2
1城西国際大学福祉総合学部理学療法学科
2茅ヶ崎リハビリテーション専門学校理学療法学科
pp.644-649
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200670
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在宅支援からみた下肢慢性創傷のリハの現状と課題
糖尿病(DM)などの動脈硬化性疾患の急増は,糖尿病足病変,重症下肢虚血などの増加を引き起こしている。これらは,足部に慢性創傷を形成する要因となり,治癒が得られない場合,大切断へと至る。重症下肢虚血を呈する症例における大切断は,著しく歩行能力を低下させることが示されており,下肢慢性創傷の治療は,切断の回避を目的として行われる1)。在宅支援という観点で下肢慢性創傷患者をとらえた際には,いくつかの問題点が想定される。創傷治療は長期にわたるため,入院期間の長期化,廃用症候群による身体機能・歩行能力の低下が引き起こされる。これらに対する介入が医療機関におけるリハの役割であるが,在宅支援という観点では,長期入院による家庭復帰の困難という問題が存在する。これらの調整・支援は重要な課題であろう。また,創傷は必ずしも入院中に治癒するとは限らないため,創傷治療が必要な状態で自宅生活を送る症例も多い。この場合,在宅でかかわるリハ関連職種が下肢慢性創傷に関するリスク管理や介入を理解していないと,創傷の悪化を招くリスクもある。そこで,本稿では,下肢慢性創傷に対するPT,OTの具体的な役割を記述し,在宅支援にかかわるセラピストに基本的なリスク管理と介入方法を理解してもらうことを目的とする。
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