特集 地域における理学療法のパラダイムシフト
地域における理学療法士の活動の現状と展望
森本 榮
1
Sakae Morimoto
1
1医療法人社団輝生会本部
キーワード:
地域理学療法
,
卒後教育
,
地域包括ケアシステム
,
訪問リハビリテーション事業所
Keyword:
地域理学療法
,
卒後教育
,
地域包括ケアシステム
,
訪問リハビリテーション事業所
pp.185-193
発行日 2014年3月15日
Published Date 2014/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106571
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はじめに
2025年には65歳以上の人口がピークを迎え,高齢化率は約30%に達する.以降2050年までに15歳未満の人口は減少し,高齢化率は35%以上となり,わが国は世界でも経験のない超高齢社会を迎える.独居高齢者,高齢夫婦世帯を誰が支えるのか.さらに,高齢者の増加は要介護障がい者の増加につながる.介護を支える仕組みにはマンパワーが必要になる.現在検討されている地域包括ケアシステムの構築の流れのなかでも,高齢者が障がいを受けても自立した生活を継続して営めるシステムづくりが望まれている.当然ながら,積極的に参画し,理学療法士の価値を高める重要な時期である.
しかし,理学療法士は“地域=在宅サービス”と考える傾向があり,医療機関に就労している理学療法士のなかには地域に関心を示さない人もいる.利用者の“地域”には急性期病院も回復期リハビリテーション病院も含まれる.地域に密着し在宅サービスを展開する理学療法士だけでなく,医療機関に就労していても,介護保険制度や在宅サービスの内容を理解し,患者の在宅での生活を考える理学療法士が必要とされている.
さらに,有資格者の急増に伴い,障がい者,予防・健康増進,産業疾病予防を行う理学療法士など今まで手がけられなかった領域にも視野を広げられる機会である.しかし,個々の理学療法士が職域を拡大する意識を持たなければ実現は困難である.本稿ではまず,医療・介護保険の両方を理解し,地域の中核的な役割を担える人材育成をめざし「地域における理学療法士の活動の現状と展望」について述べる.
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