第4回 リハビリテーション科専門医会 学術集会/諏訪 《シンポジウム》臨床に生かす動作解析―座長/蜂須賀研二・山本 澄子
立位姿勢の解析
長谷 公隆
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1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.591-596
発行日 2010年9月18日
Published Date 2010/9/18
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はじめに
立位はヒトが移動や作業を行うための基本姿勢であり,床面から約1mの高さにある身体の重心(center of mass;COM)を支持し,体節のアライメントに対応してそのバランスを制御する能力によって管理されている.したがって,立位姿勢を解析することで,これらに関わる筋・骨格ならびに神経系の機能を評価することが可能である.例えばRomberg徴候は,視覚情報が排除された場合における身体の揺れを陽性所見とする神経学的検査であり,視覚情報に基づいた代償機構が立位制御においてどのように機能しているかを評価する身体所見である.代償的姿勢制御の存在を示すRomberg徴候は,残存機能を利用させることで機能障害の克服を図るリハビリテーション(以下,リハ)治療の有効性を示唆する所見であるといえよう.
Romberg徴候などにおいて認められる身体の揺れを定量化する手段が,床反力計を用いた重心動揺検査である.立位保持課題における足部の圧中心(center of pressure;COP)の位置を一定時間計測することで算出されるCOP変位の距離や速度に関する指標は,立位制御の特性を見いだす手段として広く臨床に用いられている.以下に,COP関連指標の特性と,筋・骨格ならびに神経機能のリハ評価における重心動揺検査の有用性について述べる.
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