特集 これからの地域看護のかたち—訪問篇
小児訪問看護の現状と課題
梶原 厚子
1
1NPO法人あおぞらネット訪問看護ステーションそら
pp.721-726
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
日本における周産期新生児医療,小児医療の進歩によって,多くの子どもたちを救命することができるようになった。その進歩がもたらしてくれたものは,個別性が高い,とても可愛らしい子どもたちである。
その子どもたちは,重い身体障害,知的障害,発達障害などをもち,それが複合的に存在することもある。そのような特性を考慮しながら,医療機器や薬剤を有効に利用し,生き生きと暮らしていくのである。
子どもは家族や家庭の中で成長発達する存在である。家族や家庭は地域の最小単位で,0歳から高齢者までさまざまな年齢層で構成されている。このことから考えて,ヘルスケアに関する世代別の課題解決能力やエビデンスでは証明されにくいかかわり方やケアの方法などの理解ができる柔軟な看護が求められる。そうなると病院丸ごと一つ背負って訪問看護に行かねばならぬと肩に力が入るが,決してそうではない。訪問したその時に「どうしたの?」「どんなことが楽しいの?」「どんな夢があるの?」というような切り口からコミュニケーションのきっかけを作り,目の前のその子をじっくり感じ取るような心構えで経験を積んでいくことが大切だと思っている。「愛おしい」そんな気持ちが小児訪問看護を発展させると確信している。
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.