Book Review
作業療法が生きる地域リハビリテーションのすすめ—いのち輝く生活の支援を目指して
小林 幸治
1
1目白大学保健医療学部作業療法学科
pp.217
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200343
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
本書の中に「自宅での日常生活動作がすべて組み込まれていながら他所様に出かけてきたという感覚を利用者に持ってもらいたい」とある。デイステーション涼風(以下,涼風)に一歩入ると,目を見張るような設備などはないが,直感的に居心地の良い雰囲気と,お稽古事に来たようなワクワクと少しの緊張を感じる。この空間には利用者のための仕掛けが実に細かく所狭しと置かれているが,自然すぎて気づきにくいぐらいである。評者の限られた経験による考えではあるが,利用者のこころを動かす通所施設には共通して,居場所にしたくなる居心地と,動きたくなる仕掛けがある。
評者が石井晴美先生に初めてお会いしたのは2014年の夏で,東京都作業療法士会主催の研修会で石井先生との二人講師であったため涼風で事前打ち合わせをすることになった。本書にも書かれている涼風の説明や,通われている利用者さんがどのような作業療法を受けているのかなど,実にぜいたくな個人講義をしてくださった。迎え入れてくださる態度のすばらしさに感激した一方で,わが国でまだ訪問リハという言葉を聞くことも少なかった頃から,その核心を実践されてきた巨人の言葉の筋金入りの鋭さに圧倒された。
Copyright © 2016, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.