連載 感性の輝き・第33回
わかってもらいたい思い
原 順子
1
1松江総合医療専門学校
pp.216
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200342
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私は25年間の急性期病院での臨床を経て,STの養成校の教員となったが,今でも心に残る患者さんがいる。
小6のAさんは,卒業式の数カ月前に脳出血で倒れ,救急搬送されてきた。リハ開始時は発語もなく,全失語の状態であったが,数カ月後には,笑顔で他の患者さんと話したり,外泊中にお菓子を作り,時には父と校庭をジョギングするまで回復していった。しかし,長文の読解,漢字の書字は難しく,小学校低学年のドリルの練習から,毎日熱心に取り組んでいた。時には,前日に覚えた漢字が書けず,悔し涙を流すこともあった。
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