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特集 脊髄障害とニューロモデュレーションNOW
脊髄損傷による呼吸不全に対する横隔膜ペーシングシステム
Diaphragmatic Pacing System for Respiratory Disorder Due to Spinal Cord Injury
益田 宗彰
1
Muneaki MASUDA
1
1独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Japan Labour Hearth and Safety Organization(JOHAS)Spinal Injuries Center
キーワード:
横隔膜ペーシングシステム
,
diaphragmatic pacing system
,
上位頸髄損傷
,
upper cervical spinal cord injury
,
呼吸不全
,
respiratory disorder
Keyword:
横隔膜ペーシングシステム
,
diaphragmatic pacing system
,
上位頸髄損傷
,
upper cervical spinal cord injury
,
呼吸不全
,
respiratory disorder
pp.185-189
発行日 2023年5月24日
Published Date 2023/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202049
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はじめに
頸髄損傷,とりわけ頭頸移行部に近い上位頸髄損傷では,四肢麻痺に加え,高い頻度で呼吸麻痺(横隔膜麻痺)を併発し,患者の生命維持を目的に人工呼吸器管理を必要とする場合が少なからず存在する.加えて近年では,高齢者の頸髄損傷が増加の一途を辿っており,中下位頸髄損傷であっても全身的予備能力の低下に麻痺が加わることで容易に呼吸状態の悪化〔無気肺や(誤嚥性)肺炎など〕をきたし得るため,脊損医療の現場では呼吸器合併症のマネジメントが大きな課題となりつつある.上位頸髄損傷完全麻痺の状態であれば,人工呼吸器の使用は恒久的に必要であることがほとんどであり,気管切開に伴い発声が困難となるなど,その後の患者のQOLを著しく低下させる要素となっている.これまでにも新しい呼吸管理の手段として,NPPV(非侵襲的陽圧換気)の活用など3)により気管切開管理を離脱可能とする方法が当センターを含め一部の施設で行われてきたが,人工呼吸器の使用自体は不可欠なものであった.このような状況に一石を投じる新たなデバイスが横隔神経電気刺激装置(以下,横隔膜ペーシングシステム)である.今回われわれは,脊髄損傷に対する国内第1例目となる症例を経験し,横隔膜ペーシングの有用性と今後の可能性につき多大なる知見を得た.本稿ではその報告を兼ねて,新しいニューロモデュレーションとしての横隔膜ペーシングシステムの概要について紹介する.
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